原稿に没頭して、静かな夜更けに溶け込んでしまうと、夜明けの兆しが見える前の、一日で一番暗い時間帯に出会っていることに気づく。星はまばらとなり、青みがかった空は漆黒の闇に包まれる。そんな時、自分はこんな時間に試されているのではないかと思うことがある。
  何かを始めて、10のうち8か9までに到達することはよくあることかもしれない。 しかし残りの1か2を詰め切ることは真に難しい。 およそ完成に近づきながら、倒れていった先人のいかに多いことか・・・。
 今、何かをやり遂げようと苦しんでいる卒業生諸君。もがいている生徒諸君。 どうか信じようではないか、自らがそんな暗闇にあったとしても、必ず朝が来ることを・・・。受験直前のぎりぎりの時間を過ごしている諸君。人生の一大事を迎えようとしている皆さん。たしかに 夜明け前の暗闇は最も暗い。しかし、必ず、輝かしい陽光さす明日が待っている。